山口大学医学部附属病院|再開発整備事業

ボイス

ホスピタルアートで来院者に癒しの時間を 岡学長 渡邉氏

新病棟を彩るホスピタルアート

岡:患者さんやそのご家族など、病院を訪れる方々は多かれ少なかれ何らかの不安を抱いていらっしゃるものです。新病棟 では、少しでもその不安を和らげてもらうために、オリジナルのホスピタルアートを設置する計画を進めています。アートの制作を依頼したのは、本学教育学部 の卒業生で、今は東京でクリエイティブユニットKIGI のアートディレクターとして活躍中の渡邉良重さんです。渡邉さんは普段はグラフィックデザインを中心としてプロダクト、洋服、作品作りをされていますが、 ホスピタルアートにはどんな思いで取り組んでおられますか?

渡邉:まず、母校・山口大学に関わることができることを、とても光栄に思っています。ホスピタルアートを手掛けるのは 今回が初めてですが、自分の原点の1つである山口大学で、新たな挑戦ができるのがとても嬉しいです。 アートは人によって受け止め方がさまざまですし、どんな風に感じていただいてもよいのですが、私としてはさきほど学長がおっしゃったように、病院に不安な 気持ちで訪れた人がホッとできるような、気分転換できるような心地よい空間を作れたら…と願って制作に取り組んでいます。

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限りなく温かくて優しい、まどみちお作品の世界観を表現

岡:2018 年11 月には1 階のエントランスホールに、縦2.4 メートル×横4.3 メートルの巨大なモザイクアートが完成しました。私も拝見しましたが、非常に印象的で、まさに「病院の顔」にふさわしい大作ですね。

渡邉:ありがとうございます。この作品は、私のふるさとでもある山口県周南市出身の詩人・まどみちおさんの作品「空 気」をモチーフにしています。まず、私が「空気」を読んで感じた世界を絵で表現し、それをイタリア在住のモザイク作家・永井友紀子さんに依頼してモザイク 画に仕上げてもらいました。素材はイタリア産の大理石とベネチアンガラス。永井さんがイタリアで途中まで仕上げたものをバラバラのピースの状態で宇部まで 空輸し、微調整を加えながらピースとピースを繋げ、約半年がかりで完成させてくれました。モザイクにしたことで作品が立体的になり、まどさんの詩の世界を より深く表現できたのではないかと思います。作品の側には詩「空気」を掲示する予定です。

岡:この作品のモチーフとなっているまどさんの詩「空気」は、「誰かの吐いた空気が、今度は自分の体の中に入り、そして自分が吐いた空気が、今度は誰かの体の中へ…」という、当たり前だけれども、非常に新鮮な気付きを与えてくれる作品ですね。

渡邉:このモザイクアートを含め、新病棟にはまどさんの詩をモチーフにしたアートを10 数点、展示する予定です。まどさんの作品は、どれもとても温かくて優しい。身近なものごとや生き物をテーマにしていながらも「あ、こんな見方もできるん だ」と驚かされることが多くて、学長が今おっしゃったとおり、新鮮な気付きを与えてくれます。まどさんの視点から見れば、見慣れた景色も全く違うものに見 えてきますし、当たり前だと思っていた物事も奇跡のように思えて、心が満たされるような気がするのです。病棟を訪れた皆さんに、絵と一緒にまどさんの詩の 素晴らしさを味わっていただけたら、嬉しいです。

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遊び心いっぱい!8F 小児病棟のアートたち

岡:8F の小児病棟には、また別の切り口の遊び心あるホスピタルアートを設置予定ですね。

渡邉:小児病棟には、子どもたちにもわかりやすい、楽しいイラストレーションを設置するつもりです。たとえば、病室の 番号は、アルファベットで表記し、そのアルファベットで始まる動物のイラストを添えています。たとえばC の部屋にはCAT(猫)のイラスト、W の部屋にはWOLF(狼)のイラストという具合です。まだ文字を読めない子どもも絵を見れば「自分の部屋は猫の部屋だ」とわかりますし、自分の病室に親し みを感じやすくなると思います。楽しく英単語が覚えられるので、英語に興味をもつきっかけにしてもらえるかもしれません。子どもたちが遊ぶプレイルームに も、ウォールアートを設置して、とても楽しい仕掛けを用意していますので、どうぞお楽しみに。

岡:それは、とても楽しみですね。子供たちの笑顔が目に浮かぶようです。入院生活を送っている子どもたちにとって、病棟は治療や療養の場であると同時に生活の場でもあります。アートの力を借りれば、子どもたちに入院生活をより心豊かに過ごしてもらえることでしょう。

渡邉:そうなれば、とても嬉しいですね。子どもたちはもちろん、付き添いのご家族の皆さんにも、アートのある空間を楽しんでいただきたいと願っています。

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「総合大学ならではの強み」を生かした医療機関を目指す

岡:近年、病院にはこれまで以上にさまざまな役割が求められるようになってきました。病気の治療だけではなく、予防や 病後のケアのために訪れる方、在宅医療を希望する方も増えており、医学の専門知識だけでは応えられないニーズが年々高まっています。その点、総合大学であ る山口大学には、理系のみならず文系の専門分野のエキスパートが揃っていますので、その総力を結集すれば、高度な医療のみならず、時代のニーズに応える、 より幅広いサービスを提供することが可能です。今回、教育学部出身の渡邉さんに新病棟の建設に参画いただいたのも、その好例ではないでしょうか。

渡邉:確かに、文系・理系という枠にとらわれないほうが、より自由な発想ができますよね。そもそも、理系・文系と言う 分け方そのものが、すでにナンセンスなのかもしれません。今回担当したホスピタルアートが、医療の現場でどんな役割を果たすことができるのか、正直言っ て、私にもまだよくわかりません。医療とアートの融合から、どんな相乗効果が生まれるのか、制作者の一人として、とても楽しみにしています。

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