作品を作るときの想いや
制作過程で感じたこと
病院に飾るアートということで、絵を観た方に元気になっていただきたい、患者さんやご家族の方々の不安な気持ちを和らげたいと考えました。そこで、雲でできたふわふわの山に、綿あめのようなカラフルな木が生え、かじるとふわっと甘い味がする――というイメージで作品を制作。普段使う鉛筆や筆ではなく、デジタルで描く難しさを体験できました。
病院で観ていただくことを意識した制作では、従来のような自分の思いを絵で表現するのではなく、相手を気遣うホスピタルアートについて学ぶことができました。看護師の方から「いつも癒されています」と声を掛けていただき、嬉しく感じています。
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作品タイトル「もこもこの山」
教育学部 美術教育選修 3年生
稻森 希実
作品を作るときの想いや
制作過程で感じたこと
職員の方を含めて病院を利用される皆さんが明るい気持ちになれる、優しい雰囲気の作品に仕上げたいと考えました。描いたのは、いつもの何気ない場所。小さな花や虫を見つけるなど、ちょっぴり嬉しい気持ちになれる散歩道です。明るい色使いでカラフルに仕上げるとともに、落ち着いた雰囲気のある“まとまり感”を持つ作品にすることを心掛けました。
最終的には、壁一面の大きな作品になるため、データ量の大きさに苦労しました。とはいえ、自分の特技を生かし、病院に貢献できる機会をいただけたことに感謝しています。
絵を観る方々に毎日を明るい気持ちで過ごしていただけたらと思っています。
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作品タイトル「あした、あさって」
教育学部 美術教育選修 4年生
左海 莉子
作品を作るときの想いや
制作過程で感じたこと
大学の研究で“物語に広がる世界”をテーマに掲げている私は、気持ちが沈んでしまうことがあっても、絵を観ていただくことで一瞬でも他の世界に思いを巡らせ、少しでも気持ちが晴れる作品にできたらと考えました。モチーフにしたのは、イギリスの童話「ジャックと豆の木」です。物語に登場する動物や金色の卵など、細かなギミックを詰め込んだ絵の不思議な世界観を楽しんでいただけると嬉しいです。
色の重なりをデジタルで表現する難しさを感じましたが、作品の大きさもあり、インパクトのある仕上がりになったと思います。ホスピタルアートという新しいジャンルに挑戦することができました。
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作品タイトル「わたしのおはなし」
教育学部 美術教育選修 4年生
藤井 心
アート作品制作で
学生さんに
与えた影響について
教授(現代美術・絵画)中野 良寿
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再開発整備事業のホスピタルアート検討WGで会議している時、改修工事中の壁に絵を飾ってはどうかと声が上がり、今回のアートプロジェクトがスタートしました。普段は油彩やアクリルを使う学生にとって、ペイントソフトを使ってPCで作品制作するのは新しい試みでした。また、自分の世界観で自分のために表現する作品づくりではなく、病院を訪れた方々に観ていただくための作品づくりに挑戦できたことで、多くの刺激を受けることができたのではないでしょうか。小さなモニターの中で描く絵を、想像力で大きく引き伸ばす作業に苦労していたようですが、作品は一人ひとりの学生の努力の賜物です。
多くの人に観ていただけたらと思います。
山大病院の
利用者への想い
地域貢献への想い
白い壁や廊下が続く無味乾燥な病院の空間に、人の気持ちに訴えかけるアートがあることで、「明るい気持ちになれる」「ポジティブになれる」など、一瞬でもほっこりした気持ちになれることがホスピタルアートの担う役割です。カラフルで楽しいアート作品があることで、患者さんの緊張した気持ちを和ませ、医療従事者に活力を与えます。とはいえ、ホスピタルアートは病院に受入れ体制がなければ難しいため、県内でも先駆けて山大病院で実現できたのは大きな一歩であり、私たちにしても現代アートや絵画の表現領域を広げる新しいチャレンジとなりました。
戦後に建設された多くの病院の改修時期でもある今、県内でもホスピタルアートを導入する病院が増えることで地域住民の方々に貢献できたらと考えています。
教育学部生制作の作品一覧
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「同窓会」作者:油野 史佳
懐かしさと未知の世界への目新しさを感じるデザインを考えました。窓枠から顔を出す動物たちのストーリーにも注目してもらいたいです。
「洗濯日和」作者:油野 史佳
デパートの中のようなポップさをイメージして配色を決めました。風にあおられている洗濯物からは、風通しの良さと爽やかさを感じます。洗濯物を干すのに適している天気の日は、「なにか良いことが起こりそうな日」だと思います。
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「山と海」作者:石川 雄大
山陽小野田市のきららビーチから見える風景を描きました。時間帯は、夕方以降で、海の向こうに見える山は、福岡県の山です。太陽の光や人口の光が綺麗で、心安らぐなと感じたので描きました。
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「あした、あさって」作者:左海 莉子
「明日は何をしようか」、と明るい気持ちで毎日を過ごしていけると良いなと思います。
いつもの何気ない場所で、小さい花や虫のちょっとした変化に気付いて、少し嬉しくなった時のことを思い出しながら描きました。
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「cantabile(カンタービレ)」作者:中藤 紗英佳
人の癒しとなるものは、動物と音楽である、と考えています。それらを階段と穴のデ ザインで表すことで、物語性のあるホスピタルアートを目指しました。また、音楽や それぞれの動物の思念を表そうと、様々な色と形でデザインしました。表情や色使い については、見る人の気持ちが明るくなり、ほっこりするような作品を作ろうと考え 制作しました。
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「わたしのおはなし」作者:藤井 心
イギリスの童話「ジャックと豆の木」をモチーフに制作した作品です。作品の中には絵本に登場した動物たちを始め、様々な動物たちが描かれています。絵本の中に入ったかのようなそんな不思議な世界観をお楽しみ下さい。
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「イルカの親子」作者:一瀬 更紗
外に出かけることが難しい患者さんが、まるで水族館に行っているかのような気持ちになれるように、イルカの親子の絵を描きました。水中をゆったりと、寄り添いながら泳ぐイルカの親子が患者さんにとっての癒しになってくれればと思います。
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「揺蕩うクラゲたち」作者:一瀬 更紗
イルカの親子と同じように、外出したくてもそれが難しい患者さんのために水族館に行っているかのような気持ちになれるようにクラゲを描きました。さらに、クラゲにはヒーリング効果があると聞いたので、この絵を見て癒しを感じていただけたら嬉しいです。
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「もこもこの山」作者:稻森 希実
”この山は雲でできたふわふわな山。木がカラフルな綿あめみたい。かじればふわっと甘い味がする。不思議なふわふわ雲の山。”メルヘンな世界観をテーマに、見ていて”かわいい!”と思ってもらえるようなデザインにしました。
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「どんどん上へ」作者:上村 百合香
上に向かって飛んでいく鳥と、風船の様子で、前向きな気持ちをイメージしました。
絵全体をカラフルにすることで、明るい雰囲気を表現しました。
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「1日の旅路」作者:小林 花音
「歩くと壁の色が変わっていく」がコンセプトの作品です。一日の時間の流れや様々な移り変わりを連続する1枚として、すべての時間があたたかく、たのしく、ワクワクするようなことの連続であって欲しいという思いで描きました。
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「宇宙と」作者:小林 花音
宇宙や惑星をテーマに描いた作品です。夜をイメージしたような目に優しく感じられる色合いで、かつ「これはなんだろう?」と興味を持ち、遠くから見たり近寄ったりして自分の世界を広げてもらえるよう、シンプルに描きました。
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「ひなげし」作者:髙木 嘉乃
ポピー(ひなげし)の風に揺れる姿を少女のスカートにした1枚です。ピンクと紫のポピーの花言葉は「いたわり」、赤は「感謝」、黄色は「成功」を意味しています。
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「尺度」作者:高森 華音
身体の各部位の長さに自信がある動物たちが集い、蝶々を捕まえようとしている。ゾウの鼻、キリンの首、ウサギの耳では圧倒的にウサギの耳が長さという点において劣っているが、ウサギは、ゾウやキリンにはない素早さや跳躍力を兼ね備えている。長さという一つの尺度に囚われずに自分の強みを生かせるようになってほしいという願いを込めている。
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