山口大学医学部附属病院|再開発整備事業

篠田医学部長

大学院医学系研究科長・医学部長

篠田 晃

DATA

山口大学大学院医学系研究科 山口大学医学部
山口県宇部市南小串1丁目1−1
http://www.med.yamaguchi-u.ac.jp/

研究で大切にすること

研究者としては、自然の背後にある真理をいかに読み解くかという心を大切にしております。研究に限らず、さまざまな物事を成し遂げるには仮説を立てて証明し、設定した目的や目標に到達することが重要です。しかし仮説による思い込みや先入観に引き摺られて真実を見逃すこともよくあります。自然は嘘をつきませんから、意外な事実や思わぬ事象との出会いを見逃さないことは大事ですね。出会ったものを無視せず、心に温めておくことで、いつか花開くこともあります。プロジェクティブに活動し、誰も考えなかったことや気づかなかったことを発見し、発展させていくことを意識し、個人の独自性が同時に普遍性につながるものを見出す研究心を大切にしたいと思っております。

篠田医学部長

山大医学部で働く思い

医学部の学生の皆さんは、高校時代から一所懸命に勉強してきたという自負があると思います。同時に自分には何も実体がないと感じている側面もあります。そのため教員に認識されたくない気持ちと、認識して欲しいという気持ちが両存するアンビバレンスな状況にある人が多い気がします。私自身としては、可能な限り学生個人を認識し名前で呼ぶように心掛けています。そうすることで学生との距離も縮まり、自然と笑顔や挨拶が生まれますし、知的伝達を行う際にもコミュニケーションベースで心に届けることができ浸透しやすいと考えるからです。
また学生を取り巻く環境や文化や科学は常に変化し、発展し続けています。コミュニケーションツールが幅広く用意され、情報を素早く取り込むことができる現代社会では、便利になる一方で、リアクションを即時に求められることも増えてきました。熟考する余裕もなく行った迂闊な対応を責められ、後悔することばかりで、また吟味のないまま将来の不安を煽られ、次にすべきことを要求されることばかり多くなっているようにも思えます。周りの言葉や対応に心を痛め、過去と未来に怯え、自分自身のいるこの場所と現在が疎かになりがちです。しかしいつの時代でも大切にすべきは今ここ、この瞬間だと思います。充実した今この瞬間は時間が経てば自信を持てる過去になりますから、そこで蓄積された根拠ある実績に基づけば、未来の幻影に振り回されることなく、輝ける夢を描くことができて心の安寧も得られるでしょう。医学部の学生の皆さんには、自分を見失わないよう、情報に踊らされることなく、自分の時間を作り自身と対峙することを意識して欲しいと思います。

篠田医学部長

変わる山大病院について

山口大学医学部や附属病院には、「教育」「研究」「臨床」の学びの場が多くあります。教員や教科書から学ぶ知識や技術は、先人が積み重ねた遺産であり、医学や医療を継承する上で大変大切なことですが、現実に出会う課題を臨機応変に対応できる能力も臨床現場では特に必要になります。また、こうした知識や技術の習得能力や問題解決能力以外にも、医学や科学の未知なる分野を切り開き、新たなメカニズムの解明や診断法や治療法の開発や創薬などに挑戦していく課題探索能力や独創的革新能力はアカデミアにとっては最も重要なことです。病院の再整備事業により、これまで以上に多様な環境が整い、多岐にわたり実践参加型教育の機会を提供できるようになると思います。是非とも今ここから未来に向けて挑戦する意欲や実践能力、革新能力を磨いていただきたいと思います。

杉野病院長
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